USBホストケーブル(OTGケーブル)は、スマートフォンに付属する充電用USBケーブルとは内部の配線が違います。スマートフォンをUSBホストとして使うときには、普通のUSBケーブルではなく、このUSBホストケーブル(OTGケーブル)が必要です。
USBホストケーブル(OTGケーブル)
最近のスマートフォンは、マイクロUSBポートにUSBメモリやキーボードなどの外部機器を繋いで使える機種が増えています。
このようにスマートフォンをUSBホストとして使用するときには、スマートフォンのマイクロUSBポートと外部機器を「USBホストケーブル」という特殊仕様のケーブルで繋ぐ必要があります。
スマートフォンを購入したときに付いてくる普通のUSBケーブルでは動作しません。
USBホストケーブルと普通のケーブルの違い
USBホストケーブル(OTGケーブル)は、マイクロUSBプラグ側の内部の配線が普通のUSBケーブルとは違っています。
普通のマイクロUSBケーブル
普通のマイクロUSBプラグ(USB 2.0の場合)は、5本のピンのうち4本にケーブルがつながっています。残りの1本のピンはどこにも繋がっておらず、空いている状態です。
1番 電源供給用(VBus )
2番 データ転送用(D-)
3番 データ転送用(D+)
4番 あき
5番 電源供給用(GND)
USBホストケーブル
一方、USBホストケーブルのマイクロUSBプラグ内部は、空いている4番の端子を5番のGND線にショート(短絡)してあります。下の図の赤い部分の配線が繋がっているのがUSBホストケーブルです。
スマートフォンは、この4番ピンの結線を認識すると、ホストとして動作します。
このように内部の配線が異なるため、一般のマイクロUSBケーブルで接続してもUSBホスト機能は使えません。
スマートフォンにつながる側のマイクロUSBプラグは、必ず上図のような内部配線になっている必要があります。
充電専用ケーブルと呼ばれる製品について
この稿の本題からは外れますが、「充電専用マイクロUSBケーブル」として販売されている製品について付記しておきます。
充電専用マイクロUSBケーブルの配線は下図のようになっています。
給電用の1番と5番だけが結線されており、その他のピンは空いています。したがって、このケーブルをデータ通信に使用することはできず、「充電専用」なわけです。
普通のマイクロUSBケーブルなら「充電」も「通信」もできるのに、なぜわざわざ「充電専用」のケーブルを販売する必要があるのかというと、理由はおもに「コストカット」でしょう。
なお、2番ピンと3番ピンがショート(短絡)してあるタイプもあります。この場合もデータ通信ができない点は同じです。
スマートフォンの機種によってはこのタイプの充電ケーブルでないと充電できないこともあります。「非純正の充電用マイクロUSBケーブルを買ってきたら充電できなかった」という事態はおもにこれが原因です。
USBホストケーブルは200円~700円くらい
外部機器をスマートフォンに繋ぐためのUSBホストケーブル(OTGケーブル)や変換アダプタは、ノーブランド品なら100円~200円程度、信頼性の高いバッファローやサンワサプライの製品なら500円~700円程度で売っています。
USBホスト変換ケーブルの使い方
USBホスト変換ケーブルを使った実際の配線方法を説明します。
USBメモリを使う場合は、変換アダプタのAメス側にそのまま差し込めば動作します。
延長ケーブルも使用可能です
キーボードやマウスを使うときは、ケーブルが短いと取り回しが難しいです。スマートフォンと外部機器の間に距離をおきたいときは、変換アダプタのAメス側にUSBケーブルをつないで延長することもできます。このとき使うUSB延長ケーブルは、普通のPC用のものでかまいません。
USBハブを使って複数機器を接続
USBハブを間にはさめば、キーボード、マウス、USBメモリ等を同時に接続できます。
さらに、マイクロUSBプラグがOTG用の配線になっているOTGハブを使えば、別途OTGケーブルを用意しなくても、スマートフォンに複数の外部機機器を同時接続できます。
スマートフォンにマウスとキーボードを繋いで入力作業をしたい、というようなときは、このUSBハブがあると便利です。
USBホスト機能を活用するとスマートフォンの用途は飛躍的に広がります。
なお、すべてのスマートフォンがUSBホスト機能に対応しているわけではないので注意が必要です。現在市販されているSIMフリースマートフォンのUSBホスト対応状況を別記事にまとめたので参考にしてください。