わたしは過去に2回、NHK受信契約の解約を経験しました。その体験談を書き留めておきます。なお、あくまで正攻法による解約です。裏技的な情報はありません。
NHKの解約をした体験談です
NHKの解約は意外に簡単でした
NHKの解約に関するネット上の体験談は、
- もめにもめた
- 本当にテレビがないか家まで確認にやってきた
- 証明書類を出せと言われた
などなど、面倒な思いをした話が多いようですが、わたしの場合は、あっさり解約できました。
解約の手続きは電話から始まる
わたしはこれまで2回、NHKの解約手続きをしました。
- 1回目は、祖母が老人ホームに入居し、その家に誰も住まなくなった際に、NHK受信契約(地上波および衛星放送契約)を解除しました。
- 2回目は、自分のワンセグ付ガラケーが壊れて、ワンセグのないスマホに買い替えた際に、地上波受信契約を解除しました。
2回とも電話での短いやり取りだけで、あっさり解約できました。
以下、具体的な手順をご紹介します。
NHKの解約手続きは、まずNHKに電話をかけることから始まります。ネットや書面のみでの解約はできません。
NHKのホームページには、受信契約を申し込むための電話番号は大きく書いてありますが、解約用の電話番号は記載がありません。そこで、「受信料に関するお問い合わせ」と書いてある番号に電話しました。
電話番号:0120-151515(フリーダイヤル)
受付時間:午前9時~午後8時(土・日・祝日も同じ)
自動音声が流れるので、3番を選択すると、解約の申請などを扱うオペレーターにつながります。
そこから先の手続きは、解約理由によって、オペレーターと話すだけで終わる場合と、営業担当者に引き継がれる場合があります。
上記のケース1(留守宅のテレビの解約)はオペレーターのみ、ケース2(ワンセグ携帯の機種変更による解約)は営業センターの担当者に引き継ぎになりました。
それから先の解約手順をざっくり図解すると、次のチャートのような感じです。
NHK解約手続のフローチャート
0120-151515
解約したい理由を説明する
↓
↓
↓
(解約理由を記載)
(必要なら証明書類を添付)
↓
↓
以下、NHK担当者とのやり取りの概略です。
【ケース1】祖母の家の場合 - 地上波および衛星放送の解約
祖母は持ち家で一人暮らしをしていたのですが、数年前に病気で長期入院し、体が弱ったので退院後は自宅に戻らずに、介護してもらえる老人ホームに入ることになりました。
祖母の留守宅にはテレビがありますが、今後、誰も住む予定がありません。このような場合、NHKの公式サイトによると、
テレビを設置した住居に誰も居住しなくなる場合
に該当するため、受信契約を解除できます。
NHKとの電話でのやりとりは、こんな感じでした。
ざっと、こんな感じです。とくに面倒なことは言われず、証明書類も要求されませんでした。
オペレーターへの説明だけで、すんなりと、解約申請に必要な書類(書式)を送ってもらえました。
ちなみに、祖母はもう何十年も銀行引き落としでNHK受信料を払い続けてきました。いまさら嘘をついて解約することもないだろうと、先方も判断したのでしょう。
NHKから郵送されてきた解約申請書には「放送受信契約を要しないこととなった事由」を書く欄があります。その欄には、
「老人ホームに入居するため」
と一言だけ書いておきました。その紙一枚を郵送しただけで、あっさり解約できました。
【ケース2】携帯電話の機種変更によるワンセグ契約の解約
次は、わたし自身のNHK受信契約(ワンセグ携帯による地上波受信契約)を解除した話です。
わたしはテレビを持っていません。10代の終わりにひとり暮らしを始めて以来、テレビを買ったことはありません。そもそもテレビを見る習慣がありません。
しかし、携帯電話(ガラケー)に、たまたまワンセグの受信機がついていました。
家にやってきたNHKのオニイサンが、
「ワンセグでも受信契約を締結する義務がある。」
というので、すなおに地上波契約をして、銀行引き落としで2か月2520円の受信料を払い始めたのが数年前です。
そのガラケーが故障で充電不能になったので、スマートフォンに買い換えました。新しく買ったスマホは海外メーカー製なので、iPhoneと同じくワンセグ受信機能はありません。
この場合、NHKの公式サイトにある、
廃棄、故障などにより、放送受信契約の対象となるテレビがすべてなくなった場合
に該当するので、受信契約を解除できるはずです。
で、NHKに電話して、解約を申請しました。
この解約理由のケースでは、コールセンターだけでは手続きが終わらず、さらに地元の「営業センター」の担当者が解約の可否を判断するようです。
各地のNHKの営業担当部門の一覧はこちらにあります(NHKの窓口)。東京や大阪、愛知など人口が多い都道府県では「営業センター」が、その他の県では地元のNHK支局内の営業部門が、ここから先の手続きを引き継ぐようです。
後日、もよりの「営業センター」の担当者から電話がかかってきました。いったいどんな難題を吹っ掛けられるかと少し恐れて待っていたのですが、とくに面倒なことはなく、なんの質問もされず、相手が一方的にしゃべるだけで、電話は30秒ほどで終わりました。
電話でのやり取りは、この程度でした。新しい携帯電話の機種は尋ねられませんでした。機種変更をした理由や、古いガラケーをどうしたのかも聞かれませんでした。
「え、それでいいの?」
肩透かしを食らったような気分でした。約1週間後に解約届の様式(放送受信契約解約届)が自宅に郵送されてきました。
届いた用紙には、わたしの住所や氏名がすでに印刷してありました。
解約事由は選択式になっていて、次のものからひとつ選択し、カッコ内に必要事項を記入します。
- 受信機を撤去した(受信機の廃棄方法)
- 受信機が故障した(故障の状況)
- 受信機を譲渡した(譲渡先・取引先)
- アンテナを撤去した(受信方法の切替の有無)
- ケーブルTVを脱退した(受信方法の切替の有無)
わたしの場合は2の「故障」にチェックを入れて、カッコ内には「充電不能」と書きました。
機種変更に関する書類は「できれば…」とのことなので、なにも同封しなくても解約できるみたいですが、スマホを購入した際の領収書のコピーを同封しておきました。
NHKの解約にまつわるあれこれ
以上、わたしが経験したNHK解約の実体験のほぼ全容です。ちまたではNHKの解約は難しいと言われますが、わたしの印象は違います。
何をきかれるのか
2回とも、NHKさんが唯一しつこく尋ねのは「いつ?」という点でした。入院したのは「いつ」か。老人ホームに入るのは「いつ」か。その日程は「いつ」わかるのか。携帯電話を買い替えたのは「いつ」か。
おそらく、こちらがウソを言っていないか探るために、具体的な時期を即答できるか試しているのだと思います。NHKから突っ込まれたのは「いつ」という日付の点ばかりで、その他の詳細はほとんど聞かれませんでした。
何を基準に解約の可否を判断しているのか
NHKの担当者は、毎日いろいろな人を相手にしているでしょうから、それなりのノウハウを持っているはずです。そのノウハウに照らして、わたしは嘘を言っていないと判断されたのだと思います。
おそらくですが、NHKがもっとも重視する判断基準は、これまでの受信料の支払い状況なのだと思います。祖母も、わたしも、銀行口座からの自動引き落としで、祖母は数十年間、わたしは数年間、きっちり受信料を払ってきました。
こういう人は、普通、いまさら嘘をついて解約しません。
もしもこれが、何度も延滞していたり、何かの理由をつけて支払いを拒否したりした記録があると、解約の際に根ほり葉ほりシツコク聞いたり、テレビが無いことを家まで確認しに来たり、証拠書類を見せろといわれたりするのだと思います。
受信料の不払いがある場合
受信料の滞納があると、解約が難航する場合があるようです。ネット上の情報を総合すると、滞納があったがすんなり解約できたケースと、解約の前に滞納分を支払うよう言われたケースの2通りがあります。担当者によると思われます。
法律的には、解約と滞納金の支払いは別問題なので、解約理由が存在するならば滞納金があっても解約できるはずです。しかし、実際問題としてNHKは、滞納金があると容易には解約届(放送受信契約解約届)の用紙を送ってくれません。
解約届と滞納分の振込用紙を同時に郵送してもらい、滞納分を振り込んだうえで、その振込書類のコピーを同封して解約届を提出、というのが一般的な流れです。
解約日の決まり方と過払い受信料の返金
上記のとおり、NHKの解約手続きは、電話連絡、書面記入、書面提出と段階的に進行するので、完了までに1~2週間程度の日数がかかります。
では、NHKの解約日(受信契約終了日)は、この1~2週間のうちのいつになるのでしょうか。
- 最初にNHKの問い合わせ番号に電話を掛けた日?
- 解約届の記入日?
- NHKに解約届が届いた日?
- NHK内部の解約手続が完了した日?
どれも不正解です。
受信契約の終了日(解約日)は、
「解約届の発行日」
です。
NHKから郵送されてくる「放送受信契約解約届」(上の写真の書類)には、ユーザーの氏名やお客様番号があらかじめ印刷されています。それとともに、NHKがその印刷をした「発行日」も印刷されています。わたしの場合、NHK担当者と電話で話した日の3日後の日付が入っていました。
この解約届を3週間以内にNHKに返送すると、書面に印刷されている「発行日」付で受信契約は解除された扱いになります。
たとえば解約届の用紙に印刷されている「発行日」が4月20日なら、こちらが必要事項を記入してポストに投函したのが5月3日でも、受信契約の解約日は4月20日です(NHK担当者に確認済み)。
したがって、たとえば4月中に解約したければ、遅くとも4月30日付で解約届を発行してもらう必要があるので、その数日前までにNHKに電話をかけて解約の意思を伝える必要があります。
月末が迫っている場合は、
「解約届の発行日を今月中にしてほしい」
と念を押したほうが良いと思います。発行日が翌月1日以降になると、1か月分の受信料が余分に発生します。
過払い受信料の返金
NHK受信料は、2か月ごと(偶数月)に銀行口座から自動振替で支払っている人が多いと思います。隔月の26日に、その月と翌月の分の受信料が引き落とされます。
解約届の「発行日」が4月24日で、その書類をNHKに返送したのが5月3日だったとします。この場合、受信契約は日にちをさかのぼって4月24日付で解約になります。しかし、銀行に通知が行くのは5月なので、4月26日には4月分と5月分の受信料が引き落とされてしまいます。
過払い受信料は銀行口座に返金されます。具体的な返金額は、次のように決まります。
NHK受信料は、解約月(最後の月)は支払い不要です。上の例だと、解約日が4月24日なので、4月分は支払い不要です。したがって、4月26日に自動振替された4月分と5月分の受信料が、まるまる返金されます。
ちなみに、NHKの受信契約は日割り計算をしません。受信契約をした最初の月は、月末の31日に受信契約をした場合でも、ひと月分をまるまる全額支払います。そのかわり、解約した月は31日に解約した場合でも全額返金されます(放送受信規約第5条)。
ひとこと言っておきたいことがある
なお、もう終わったことではありますが、NHKの訪問員(受信契約の勧誘員)の質の低さには、ほとほとあきれます。
わたしが数年前に受信契約をした際、初対面の訪問員に銀行口座の情報を教えるのが不安だったので、
「請求書払いにしてもらいたい」
と言ったところ、彼は、
「今は、クレジットカードか銀行口座振替でしか払えない」
と言いました。
仕方なく銀行引き落としの手続きをしましたが、彼が持ってきた何だかよくわからない専用端末に銀行のキャッシュカードをとおし、さらに4桁の暗証番号まで入力するのは、正直、非常に不安でした。
ちなみに、あとでネットで調べてわかったことですが、実際は、請求書を郵送してもらってコンビニで払ってもよいのです。
想像ですが、彼らは単に受信契約を結ばせるだけよりも、銀行やキャッシュカードでの自動引き落としの手続きをさせるほうが歩合が高くなるのでしょう。だから、あんな嘘をつくわけです。
いまどき、あれほど不誠実なセールスが許されている企業は、NHKくらいしかないのではないかとも思います。
ちなみに余談ですが、そのNHKの訪問員があまりにガラの悪い人物だったので、逆に興味がわき、
「あなた、NHKの仕事をする前は何やってたの?」
と聞いてみたら、
「家庭用ソーラーパネルの訪問販売」
とのことでした。
余計はことは言わなくてOK
いろいろと問題もあるNHKですが、解約手続きの際には余計なことを言う必要はありません。
たとえば、
- NHKは見ないとか
- 受信料が高いとか
- 報道姿勢が体制的(あるいは反日的)だとか
- 会長(籾井勝人:当時)が人品卑しいとか
- 職員の不祥事がどーたらこーたら
この種のことは、心で思うのはかまいませんが、解約申請の際に言う必要はありません。解約という目的のためにはむしろ有害な発言です。
NHKが解約に応じる事由は、公式ホームページに書いてあるとおり、
- テレビがある家に誰も居住しなくなる場合
- 廃棄、故障などにより、使えるテレビがなくなる場合
- 2世帯がひとつになる場合(結婚、実家に戻るなど)
だけです。
この解約事由に該当する内容を、淡々と述べればよいのです。こちらの説明を担当者に呑ませるために必要なことは、
- 説明の具体性(とくに時期的なこと - いつそれが起こったか)
- 受信料の滞納がないこと
- 余計なことは言わない
の3点だけです。
NHKに対するあなたの意見は述べなくてOKです。放送法の規定を持ち出してウンチクを垂れるのは典型的な悪手です。「ああ、この手合いが来たか」と思われるだけです。
そういうやり方でも時間をかければ最終的には解約できるかも知れませんが、NHKの職員と余計なおしゃべりをしても楽しくないですから、必要最低限のことだけしゃべって、30秒の電話一本で終わらせたほうがよいと思います。
余計なことはしゃべらずに、事務的に事実だけを淡々と説明してください。そうすれば、驚くほどあっさり解約できると思います。