7月15日からサービスを開始した格安SIM(MVNO)のFreetel SIM。現在FreetelのSIMフリースマートフォンを利用しているので興味を持ち、スペックを確認してみたら、使い方のコツが見えてきました。以下、レビューします。
Freetel SIMの仕様
Freetel SIMのオフィシャルサイトはデザイン優先で、同業他社のサイトに比べて情報量が少ないです。解約時に請求される金額すら、規約を読まなければわかりません。そのあたりもあわせて調べてみました。
Freetel SIMの解約金
Freetel SIMは、他社の音声通話SIMのような最低契約期間の定めがありません。契約した翌日に解約しても、違約金(解約金)はかかりません。
ただし、MNP(ナンバーポータビリティ)で他社に移行する場合は、下記の解約手数料(MNP転出手数料)がかかります。
解約時期 | 手数料 | |
契約当月 | 15,000円 | |
2ヶ月目 | 14,000円 | |
* 1000円/月ずつ減額 | ||
11ヶ月目 | 5,000円 | |
12ヶ月目 | 4,000円 | |
それ以降 | 2,000円 |
他社が解約手数料(解約金、解除調定金)と呼んでいる費用を、フリーテルはMNPの場合に限定したうえで、「MNP転出手数料」と呼んでいます。
他社との比較 - MNPで転出する場合の費用
Freetel SIMのMNP手数料を、大手2社(OCN モバイル ONE、IIJmioみおふぉん)と比較してみます。水色のマーキングは最安値を示しています。Freetelは12ヶ月目までIIJmioと同額です。
解約時期 | FREETEL | OCN | IIJmio |
契約当月 | 15,000円 | 11,000円 | 15,000円 |
2ヶ月目 | 14,000円 | 11,000円 | 14,000円 |
3ヶ月目 | 13,000円 | 11,000円 | 13,000円 |
4ヶ月目 | 12,000円 | 11,000円 | 12,000円 |
5ヶ月目 | 11,000円 | 11,000円 | 11,000円 |
6ヶ月目 | 10,000円 | 11,000円 | 10,000円 |
7ヶ月目 | 9,000円 | 3,000円 | 9,000円 |
8ヶ月目 | 8,000円 | 3,000円 | 8,000円 |
9ヶ月目 | 7,000円 | 3,000円 | 7,000円 |
10ヶ月目 | 6,000円 | 3,000円 | 6,000円 |
11ヶ月目 | 5,000円 | 3,000円 | 5,000円 |
12ヶ月目 | 4,000円 | 3,000円 | 4,000円 |
それ以降 | 2,000円 | 3,000円 | 3,000円 |
※ OCNモバイルONEとIIJmioは、解約手数料とMNP手数料の合計額を記載しています。
データ通信専用SIMの解約制限
なお、音声通話SIM以外の、データ通信専用SIMの解約制限期間については、以下のように定められています。
FREETEL | OCN | IIJmio | |
解約制限期間 | なし | なし | 契約翌月まで |
データ専用SIM(SMS付きを含む)は、各社ともいつ解約しても解約手数料はかかりません。ただしIIJmioは契約翌月までは解約できないので、その分の料金は請求されます。
契約月、解約月の料金の扱い
Freetel SIMでは、契約月や解約月の料金の日割り計算はしません。
たとえば、7月31日に開通した場合でも、7月分を全額請求されます。つまり、7月31日に開通して翌日(8月1日)に解約した場合でも、2カ月分をまるまる支払うことになります。
これも他社との比較を乗せておきます。
FREETEL | OCN | IIJ IIJmio | 楽天 | |
契約月 | 全額 | 日割 | 日割 | 無料 |
解約月 | 全額 | 全額 | 全額 | 全額 |
※ 月額基本料金のみの比較。通話料金等はいずれも使用量に応じてかかります。
通話に関するその他の仕様
音声通話の料金や仕様に関しては、他社とかわりません。
- 通話料 … 20円/30秒
- 通話料金割引制度 … 「通話料いきなり半額」を使うと、通話料金が半額(10円/30秒)になります。この「通話料いきなり半額」は、IIJmioの「みおふぉんダイヤル」、楽天モバイルの「楽天電話」と同じく、電話番号の頭に特定の番号(プレフィックス番号)を付けてダイヤルすることで通話料が半額になるというサービスです。「楽天電話」を契約すれば、すべての携帯電話会社で同じく半額になるので、この点に関してFreetel SIMの優位性はありません。
- SMS 3円/通
- 転送電話の設定…可
- 留守番電話サービス … 300円
- キャッチホン … 200円
- 国際電話 … 可
- 国際ローミング … 可(音声通話)
音声通話に関する費用は、どこの会社も同じ金額のようです。
Freetel SIMの強みはデータ通信の料金体系にあり
以上のとおり、音声通話の料金やMNP転出の自由度に関しては、Freetel SIMの優位性はとくにありません。
Freetel SIMの強みは、データ通信の料金体系にあります。
Freetel SIMの月額基本料金
Freetel SIMの月額基本料金は、他社のようにプラン(コース)をあらかじめ選択するのではなく、当月に利用した高速データ通信の量に応じて、事後的に月額料金がスライドする仕組みです。つまり、段階的な従量制料金です。したがって、月間の通信量が少なければ(月間1GB以下ならば)、固定料金制の他社のSIMよりぐっと安くなります。
高速通信量 | データ専用 | SMS付き | 音声通話付 |
~100MB | 299円 | 439円 | 999円 |
~1GB | 499円 | 639円 | 1,199円 |
~3GB | 900円 | 1,040円 | 1,600円 |
~5GB | 1,520円 | 1,660円 | 2,220円 |
~8GB | 2,140円 | 2,280円 | 2,840円 |
~10GB | 2,470円 | 2,610円 | 3,170円 |
(税抜)(※ 音声通話料金等は別途課金)
動画閲覧をせずWeb Newsやメール程度しか使わない人なら、ほとんどの人が月間1GB以下だと思いますから、検討の余地ありですね。
低速モードなら料金加算なし
通信速度は、自分で高速と低速を切り替えて選択できます。低速モード(200kbps以下)で使用している限り、どれだけ使っても最上段の「~100MB」の料金のままです(299円、439円、999円)。
したがって、Yahooニュースやメール、ツイッター程度しか利用しない人なら、常に低速モード(最大値200kbps)で使っていれば、なんと月額300円程度でデータ端末を無制限に運用できることになります。
問題は、Freetel SIMの利用者が多くなった時点での実効速度がどのくらいになるかです。もちろんカタログ上の最大値の200kbpsはでないでしょう。ひょっとすると、低速モードは実用にならないほど遅い速度になるのかも知れませんが、これについてはしばらく様子をみて評判が出てくるのを待つしかないですね。
音声通話SIMの他社との料金比較
大手2社とFreetelの音声通話付データSIMの月額基本料金(税抜)の比較です。
高速通信量 | FREETEL | OCN | IIJmio |
~100MB | 999円 | ||
~1GB | 1,199円 | ||
~3GB | 1,600円 | 1,800円 | 1,600円 |
~5GB | 2,220円 | 2,150円 | 2,200円 |
~8GB | 2,840円 | 5,150円 | |
~10GB | 3,170円 | 7,150円 | 3,260円 |
※ OCNには8GBと10GBのプランがなく、追加容量オプションを購入するため割高になります。
データ通信量が少ない場合は、Freetel SIMは確かに他社より安いです。
その他・雑感
その他、Freetel SIMについての雑感です。
- Freetel SIMの公式サイトは情報量が同業他社に比べて非常に少ないです。他社がMNP転出手数料の具体的金額などまでサイトの目につきやすい箇所に付記してあるのと比較すると、不親切な印象を受けます。
- サポートを利用したところ、ごく一般的な仕様に関する質問だったのに、随分と曖昧な対応でした。
まとめ
以上をまとめると、Freetel SIMは確かに料金的には安いので、おもに遊びで使うには、この上ないベストチョイスだと思います。
問題は、運営会社が心細いこと。
会社の規模や信頼性、運営の安定性は、NTT系列のOCNやIIJ系列のみおふぉんとは比べるべくもありません。公式サイトでの情報開示や、サポートの対応も、あまりあてにならない印象を受けました。
データ通信専用のSIMであれば、使ってみてダメならすぐ解約して乗り換えればよいわけですが、音声通話SIMの場合はそう簡単にはいきません。
仕事で使うための音声通話SIMを探しているなら、ある程度利用者が増えて評判が出揃うまで待った方がよいかも知れませんね。
追記:
結局わたしは、ある程度評価が固まっているDMM mobileのSIMを使うことに決めました。価格とスペックを考えると現時点でのベストチョイスだと思います。DMM mobileのレビューや速度の実測値は別記事にまとめたので、どうぞご参考に。