冷温庫の電気代(消費電力)・騒音を、普通の冷蔵庫と比較します

わたしは1DKマンションにひとり暮らしです。 自炊はほぼしません。本格的な冷蔵庫は不要なので、これまで数年間、電子式(ペルチェ素子)の簡易な冷温庫を使っていましたが、やはり冷却能力がものたりず、このたび普通のコンプレッサー方式の小型冷蔵庫に買い替えました。

どちらを買おうか迷っている方のご参考になると思い、両タイプの比較をしてみます。

冷蔵庫と電子式冷蔵庫(冷温庫)

コンプレッサー式と電子式、両方を使ってわかったことを順に書きます。

電子冷蔵庫(冷温庫)は「静か」ではない

普通の方式の冷蔵庫は、モーターとポンプで冷媒を循環させて庫内を冷やします。エアコンと同じ原理です。ポンプやモーターは金属製の機械ですから、騒音がでます。

いっぽう電子式冷蔵庫は、ペルチェ素子という電子部品を使って庫内の熱を吸収します。ペルチェ素子は金属の薄い板です。

この薄い金属板に電流を流すと、片面が熱くなり、反対面が冷たくなります。電流を流す向きを逆にすると冷温が反転します。この性質を使って、庫内の温度を上げたり下げたりします。

ペルチェ素子自体は、電子部品なので、無音です。メーカーのサイトにも「電子式なので静かです」と書いてあります。

しかし、この言い方は正確ではありません。たしかにペルチェ素子自体は無音ですが、電子式冷蔵庫にも騒音があります。ペルチェ素子で集めた庫内の熱を空気中に逃がすための、直径10センチ程度の冷却ファンの音です。

こんな感じのファンが冷温庫の後ろ側でずっと回っています。

で、このファンの音は、かなりうるさいです。

庫内から排出する熱に加えて、ペルチェ素子自体がかなり発熱するため、その熱もいっしょに空気中に放出する必要があります。だから、このファンは常に回っています。

機械式冷蔵庫のヒートポンプは冷蔵庫の内部にあるので、あまり音は漏れません。しかし、電子式冷蔵庫の冷却ファンは空気中にむき出しなので、騒音をさえぎるものがありません。

両方使ったわたしの実感としては、機械式冷蔵庫のコンプレッサーの音より、電子式冷蔵庫のファンの音の方がうるさいです。音質的にも、ファンの高周波っぽい音の方が耳につきます。

電気代の比較

ちまたの情報では、電子式の冷温庫は、普通の小型冷蔵庫より電気代が安いといわれることがあります。しかし、この種の情報は、前提条件が間違っている場合が多いです。

電子式冷蔵庫が省エネだという人は、小容量のものを想定しているのだと思います。電子冷蔵庫の一番の売れ筋は、5リットル程度の小さいサイズのものです。このサイズだと、ビールの500ml缶を4本入れるといっぱいになります。

このくらい小さなサイズなら、たしかに消費電力は少ないかも知れません。でも、このサイズだと本当にちょっと飲み物を入れるくらいしか使い道がありません。

わたしが最近まで冷蔵庫がわりに使っていたツインバードの電子式冷温庫「HR-DB07GY」は、やや大きめの容量(13リットル)でした。

横置きすると、牛乳のパックがギリギリ縦に入ります。2リットルのペットボトルも入ります。このくらい容量があると(自炊しない前提での)ひとり暮らし用の簡易冷蔵庫として使えます。

このサイズになると消費電力はかなり多くなります。

ワットメーターで実際に測定した消費電力は約60Wでした。

サーモで電源をオンオフする仕組みはないらしく、真冬でも電源が入っている限りずっと60Wを消費し続けます。

1日あたりの電気代は36円くらいです。

自動温度調節機構がないので、年間を通してこの消費電力は変わりません。よって、1年間の電気代は、

36円 × 365日 = 約13,000円

となります。実際の支払額も、おおむねこの計算どおりです。

ちなみに普通の機械式の小型冷蔵庫の電気代は年間3,000円〜3,500円程度ですから、ペルチェ式の電子冷蔵庫は、その4倍かかるわけです。

なお、東芝のいちばん大きな家庭用冷蔵庫(容量600L)でも、年間電気代は8,000円程度です。容量わずか50分の1の電子式冷温庫が、電気代は逆に1.7倍かかります。電気代の点では電子式冷温庫は非常に不利です。

そもそも、わたしのように、電子式冷蔵庫を「部屋において24時間つけっぱなしにする」という使い方が間違っているのかもしれませんね。

ちょっとした会議、入院、キャンプなど、必要な時だけ電源を入れて便利に使う、というのが電子式冷蔵庫の本来の使用法なのだと思います。

冷温庫の消費電力は小型冷蔵庫の4倍

今回わたしが新しく購入したのは、普通の機械式の小型冷蔵庫「HR-A42JWS」です。電子式の冷蔵庫と消費電力を比べてみましょう。

ホテルなどによく置いてある四角いタイプの冷蔵庫です。

コンプレッサーが回っているときの消費電力は実測値で約43Wでした。

断熱材がしっかり入っているので、いったん庫内が冷えればコンプレッサーが停止しても低温を保ちます。

コンプレッサーが止まっているときでも待機電力があるはずですが、このワットモニターの測定限界の0.3Wを下回っているらしく、0.0Wと表示されます。省エネ性能は高いです。

一週間ほど連続で計測して平均をとってみたところ、1日あたりの平均消費電力は0.63kWhでした(室温は15度くらい)。電気代は1日わずか2.8円。気温が低いせいもありますが、電子式冷蔵庫の10分の1以下です。

夏になって気温が高くなればコンプレッサーの稼働頻度があがるため消費電力は増えますが、メーカー公表の年間消費電力は年間130kWhです。電気代は1年間で約3500円になります。

春夏秋冬をとおして比べてみても、電子式の冷温庫よりずっと安いです。

容量 年間消費電力 年間電気代
電子式 13L 525kWh 13,000円
機械式 42L 130kWh 3,510円

買い替えによって、わたしの電気代は年間1万円安くなります。

冷え方はどうか?

冷温庫(ペルチェ式電子冷蔵庫)

電子式(ペルチェ素子)の冷温庫でも、気温が20度以下なら、冷却器の表面に霜がつくほど冷えます。

ただし、庫内全体の空気の温度を0度近くまで下げることはできません。メーカー公称値では、3度程度まで下がることになっていますが、真冬を除き、なかなかそこまでは冷えないように思います。

夏季で、気温が30度前後まであがると、庫内の温度は少しひんやりする程度にしか冷えません。1日に数回扉をあけて物を出し入れすると、おそらく庫内の平均温度は20度前後になると思います。ペットボトル飲料なら一晩入れておけば少しひんやりする程度。食品の保存には使えません。

わたしは、夏季は、夕方スーパーで買い物をするときビニール袋いっぱいの氷をもらってきて、冷温庫内に入れていました。こうすると翌朝まで庫内を低温に保てるので、朝食用のサンドイッチと牛乳の小さなパックが保存できます。

氷なしで夏季に食品を保存するのは怖いです。

ヒートポンプ式小型冷蔵庫

今回わたしが新規購入した小型冷蔵庫は、中国の大手家電メーカーHisenseの「HR-A42JWS」という機種です。Hisenseは日本でもテレビCMを流しているので、ご存知の方もいると思います。

この機種を選んだ理由は、おもに価格です。Amazonで本体価格1万円程度。さらにオプションで500円払って5年間の長期保証をつけました(ヤマト運輸の関連会社が5年間引取修理してくれます)。

サイズは小型ですが、仕組みは普通の家庭用の冷蔵庫と変わらないので、普通にしっかり冷えます。製氷室ではキューブアイスを作ることもできます。

容量は42Lと小型ですが、それでも意外とものがはいります。内容量については別記事で紹介しますので、購入をご検討される方はそちらも参考にしてください。

わたしの結論としては、普通の小型冷蔵庫と電子冷蔵庫のどちらを買うか迷っていらっしゃるなら、普通の小型冷蔵庫を購入することを強くおすすめします。

理由は、

  • 静か
  • 電気代が安い
  • 普通によく冷える
  • 製氷もできる

これに対する電子式のメリットは、

  • 片手で持ち運べる軽さ
  • 自動車のシガーソケットの12V電源でも使える
  • スイッチを切り替えて保温庫としても使える

くらいです。この3点が必要ないなら、電子式を買うとあとでちょっと後悔することになると思います。

ではまた (^_^)/~

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