チャタリングをおこしたマウスが接点復活剤で修理した…という体験談がネット上にたくさんありますね。
たしかに、接点復活剤でチャタリングがなくなる可能性はあります。ただし、そのためには接点復活剤をちゃんと「接点に塗る」必要があります。
ネット情報で見かける、「マイクロスイッチのカバーのうえから接点復活剤をスプレーして数十回カチカチやったらなおった」…という記事は、ちょっとにわかに信じがたいです。
チャタリングは接点復活剤でなおるか
接点復活剤の使い方が問題
以下に説明します。
マウスのマイクロスイッチは以下のような見た目をしています。長方形の黒いボックスの上面に白い押し込みスイッチがあります。
黒いケースをはずすと、内部は下図のようになっています。
カバーをかけた状態だと、白いプラスチック部品のみが外にでています。この部分に接点復活剤をつけてカチカチやると液剤がすきまから内部に浸透して接点が復活した…というのですが…
しかしこの内部構造からして、白いパーツの周囲のすきまから浸透した微量の液剤(そこそこ粘性のある液体)が、この金属板のうえを右に移動していき、さらに金属板の裏面にまわって、接点を覆う、とは思えないです。
(*ちなみに、多くのマウスに使われているオムロンのマイクロスイッチは、工作精度が高いので、すきまからドバドバ液体が入るような粗雑な作りにはなっていません。)
でも、これでなおった、というブログがたくさんありますね。それらはウソを言っているわけではなく、以下のような事情だと覆います。
なおった理由は(たぶん)静電気が除去されたから
マウスを使っていると、内部に静電気がたまります。この静電気は、スイッチの誤動作の原因となります。誤動作の一例として、チャタリングを起こすこともあります。
静電気を除去する方法は、マウスのUSBケーブルを抜いて(またはスイッチを切り電池を抜いて)、電源オフの状態で何度もカチカチやることです。これで溜まった静電気が放電されます。
おわかりでしょうか?
先程の「接点復活剤をスプレーして何十回もカチカチ」したらなおったマウスは、接点復活剤でなおったわけではなくて、「何十回もカチカチ」した結果、静電気が除去されて、チャタリングがおさまったのです。
実際、ついさっき、この方法でマウス1台のチャタリングがおさまりました(で、この記事を書く気になりました)。
したがって、チャタリングに困った人がまずやるべきことは、接点復活剤を買うことではなくて、マウスの電源を切って(またはUSBケーブルを抜いて)、何十回もカチカチやることです。
これでなおらなかったら、そこではじめて、接点復活剤の購入を検討しましょう。
太平洋のある小島の原住民は、毎日太陽が沈むと、翌日も太陽が登るよう祈る。彼らはこの祈りに効果があると思っている。なぜなら実際に太陽は昇るからだ。
接点復活剤でなおすなら
上記の方法で静電気を除去してもチャタリングがなおらなかった場合でも、接点復活剤を使用すればなおる可能性があります。
ただし、スイッチのケースにスプレーしても意味がなく、ケースをはずして、接点部分に直接塗布します。
スイッチによって、ケースをはずしやすい製品とそうでない製品があるので、うまくいくとは限りません。ケースを外そうとしてスイッチを壊してしまう可能性もあります。
ここまで挑戦する気があるなら、接点復活剤を購入してみる価値があります。工作好きの方は、チャレンジしてみてはいかがでしょう。
それでもダメならスイッチの交換
接点復活剤を接点に塗布してもチャタリングがおさまらない場合は、スイッチごと交換する必要があります。
マウスのスイッチ交換の方法は、以前に記事にしました。こちらをご参照ください。
ご参考までに。