スマホでの通話録音は、わりと面倒です。アプリを入れたら済む話ではありません。AndroidもiPhoneも、本来、通話録音に対応していないからです。
GoogleやAppleの本国アメリカでは、州にもよりますが、相手に無断で通話を録音することは違法です。このため、違法行為を助長する可能性がある通話録音機能は、ついていないのです。
ちなみに、アメリカに限らず、イギリスやカナダ、ドイツ、その他の多くの国で、電話の通話の無断録音は違法です。
参考:Telephone call recording laws
日本には、いまのところ、通話の録音を禁止する法律はありません。
スマホで通話を録音する方法
iOSもAndroidも米国企業が開発したシステムです。そのため、通話の録音には消極的です。
とはいえ、録音する方法がまったくないわけではありません。AndroidとiPhoneそれぞれについて、通話を録音する方法をご紹介します。
iPhoneで録音する方法
iPhoneの端末自体には、録音機能はありません。また、Apple storeにも通話録音のアプリはありません。
Tapecall
ただし、グループ通話機能(3者間通話機能)を使って、外部サーバーに通話内容を録音するアプリならあります。
このアプリの仕組みは次のとおりです。
自分、通話相手、TapeCallのサーバーで3者間通話を確立し、Tapecallのサーバーーに通話を録音します。録音した音声ファイルは通話終了後にダウンロードできます。
ただし、このアプリには、たくさんのデメリットがあります。
- 3者間通話機能がないDocomoのiPhoneでは利用できません。
- auとソフトバンクの場合、3者間通話機能を利用するために月額200円のオプション料金がかかります。
- Tapecallの年間契約料金が3,400円かかります。
- さらに、録音時には、Tapecallに接続するための通話料が別途発生します。
- 自動録音はできず、録音を開始するための操作が必要です
あまり使いやすいとは言えませんね。
StichPhone
やはり手元の機器に、普通に録音するほうが便利です。
iPhone本体に通話を録音することは不可能ですが、Bluetooth接続のレコーダーを繋げば、録音は可能です。
AJAXが販売する「StichPhone」は、iPhoneとBluetooth接続できるICレコーダーです。
ひとことで説明すると、StichPhoneは、Bluethooth接続のイヤホンマイクに録音機能がついたような製品です。
通話時は、StichPhoneから相手の声が聞こえます。送話もStichPhoneに向かって話します。その音声をそのまま録音する仕組みです。iPhone本体は、かばんの中にでも入れておけばOKです。
Androidで録音する方法
Androidスマホの場合、アプリを入れれば録音が可能な場合があります。Goolge playに、フリーの通話録音アプリがあります。
ただし、機種によって使えたり使えなかったりします。また、最初は使えても、アップデートが入ると使えなくなったりします。仮に使えたとしても、録音音量が小さくて聞き取りにくかったり、音質が悪かったりします。
Android自体が録音機能を前提とした作りになっていないため、アプリを入れても安定した録音が難しいのです。
大切な仕事の話を録音したいなら、アプリではなく、もとから録音機能を装備している機種を買うべきです。録音の確実性がまったく違います。
Androidスマートホンで、メーカーが通話録音を正式にサポートしている機種はASUSとOPPOの端末です。ASUSは台湾の企業、OPPOは中国の企業です。これらの国では通話録音が違法ではないので、メーカーがAndroidのシステムを改変して、通話録音機能をつけています。
ZenFone
ZenFoneのOSは、ベースとなるAndroidにASUSが独自の改造を加えています。この独自のシステムには、通話録音機能が最初から付属しています。
たとえば、ZenFone4の設定画面には、このような通話録音のメニューがあります。
通話自動録音を選択し、通話録音の対象を「すべての番号」にしておくと、かかってきた電話も、かけた電話も、自動的に全部録音してくれます。音質は非常に良好です。
また、特定の電話番号をあらかじめ指定して、その番号からの通話のみを自動録音することもできます。
録音した音声ファイルは、1分間の通話で1MB程度のサイズです。相手の電話番号と通話日時がファイルのタイトルになるので、あとから探すときに大変便利です。電話帳に登録があれば、相手の名前と通話日時がファイル名になります。
保存場所を任意に指定できるので、Google Driveに同期しておくと自動的にクラウドにアップロードされ、あとでオフィスのデスクトップパソコンで通話を聞くなど、とても便利に使えます。
ZenFoneは、中低価格帯のラインナップが多く、最新OSのモデルが1万円台から買えます。
ZenFoneの場合、個別の機種の機能ではなく、ZenFoneのOS自体の機能として通話録音がついているので、人気のZenFone LiveやZenFone max、ZenFone4、ZenFone5など、機種にかかわらず、いずれも通話録音に対応しています。
OPPO
*以下は記事執筆時点での情報です。2021年11月現在、OPPOのスマホ(全機種)は通話録音ができなくなっています。以前のOPPO独自の通話アプリにかわり、Googleの通話アプリを採用したことによるものです。
OPPOのスマホは、AndroidをベースにしたColorOSという独自OSで動いています。
このColorOSは、OSレベルで通話録音に対応しています。ZenFoneと同じく、全通話自動録音に対応しています。
下の画像は、OPPOの設定画面です(日本語版にも同様の項目があります)。
「すべての通話を録音する(All Recordings)」をオンにしておくと、すべての通話を自動的に端末内に録音してくれます。
録音する対象を細かく設定することもできます。たとえば、特定の電話番号との通話のみ録音したり、電話帳にない相手からの電話のみを録音する、という設定も可能です。
AX7やR17など、最新機種も自動録音に対応しています。
OPPOは日本では新参メーカーですが、世界でのシェアは8.6%で、第5位のスマホメーカーです。日本でも、2020年7月以降SIMフリースマホ市場で20%以上のシェアを占め、1位を続けています。
1万円台で最新OSの機種が買えますので、これを機会にOPPOを試してみてはいかがでしょう。