Freetel Simpleという携帯電話について、現時点での感想をまとめます。なお、未購入ですのでレビューとしては不十分な内容です。
Freetel simpleについて思うこと
Freetel Simpleを試用した感想
わたしは通話用の携帯電話とスマートフォンの2台持ちをしているので、Freetel Simpleの発売を楽しみに待っていました。ようやく発売になったと喜んで家電量販店に行ったのですが、展示品を触ってみた結果、あまりの悩ましさに購入を保留して帰ってきました。
かな漢字変換は落第レベル
IME(日本語カナ漢字変換)のできの悪さには驚きました。ぱぴぷぺぽの入力に問題があるという話は聞いていましたが、もうそういう段階ではなく、根本的なところで何か欠けている感じです。
語彙の問題
まず、語彙が少ないです。以下の単語は単語単独で入力しても変換できませんでした。
- とうしゃ/当社
- きしゃ/貴社
- ゆうりょう/有料
- さいてき/最適
- さいあく/最悪
- いみぐれ/イミグレ
「きしゃ」については、変換候補に「記者」と「汽車」はでますが、「貴社」や「帰社」はでません。この製品、法人がメインターゲットなのでは?
さらに、こんな単語も変換できません。
- けいりょう/軽量
- はんがく/半額
- とうさい/搭載
以上の3つは、この携帯の販促パンフレットに太字で書かれている単語です。
さらに、
- つうわ/通話
が変換できないのには愕然としました。携帯電話ですよね、これ。
接頭語がつくと変換できない
問い合わせ、申し込み、健康、は変換できますが、お問い合わせ、お申し込み、ご健康、は変換できません。接頭語が付くと、もうそれでダメなようです。
明らかなバグ
一部の単語について、明らかなバグ、というか、単語の登録ミスがあります。どういうことかというと、
- みつもり→みつもり見積もり
- とりけし→とりけし取り消し
- ガンダム→がんだむガンダム
- あめりか→あめりかアメリカ
- いぎりす→いぎりすイギリス
- ふらんす→ふらんすフランス
単語登録の際に、ミスで読みを重ねて登録してしまったのだと思われます。ガンダムが登録してあること自体は感心しましたが・・・
国内の地名はわりと変換できる
国内の地名はなぜか変換の成績が良好です。上野毛、祖師谷、択捉、なんていう微妙な地名も、ちゃんと変換できました。
変換不能だった地名は、おしゃまんべ、わしんとん、ぱり、とろんと、など。長万部には目をつぶるとしても、ワシントンやパリが辞書にないのはどうなんでしょう。
なお、国名でも、ドイツやカナダは変換できましたが、キプロスやタジキスタンは辞書にないようです。
質感
質感は値段なりです。液晶の解像度が低く、狭いスペースに文字数を詰め込めないため、「メッ」、「オプ」などの格好悪い省略表示になってしまいます。画面の文字は、家庭用エアコンのリモコンの液晶の表示より荒いです。
電話番号簿
電話番号簿に読みが登録できないので50音順にソートできません。多くのブログで指摘されているとおりです。
しかし、グループ分けの機能があるので、100件程度なら、あかさたなでグループ分けしておけば、ひとつのグループ内は20件程度でしょうから、なんとか使える電話番号簿になりそうです。
店頭で触ってみた感想は以上です。以下は、Freetel Simpleに関する雑感です。
ガラケーではなく普通の携帯電話
ガラパゴス携帯とは
メーカー側は「日本初のSIMフリーガラケー」と称していますが、Freetel Simpleは、ガラパゴス携帯ではなく「普通の携帯電話機」です。
そもそも「ガラパゴス携帯」とは、日本だけで独自に発展した特殊な機能を持つ携帯電話のこと。たとえば、imode、キャリアメール、お財布携帯、ワンセグ、その他の所有者本人もよくわかっていない膨大な機能。外国では使えないこういう機能をてんこ盛りにした日本国内専用の多機能携帯電話を、やや揶揄して呼ぶ言い方が、ガラパゴス携帯です。
外国では使えない機能の開発に傾倒したことが、日本メーカーが世界の携帯電話市場で惨敗する原因となった、と言われます。
Freetel Simpleは何と呼ぶべきか
Freetel Simpleは通話とSMSをするための携帯電話です。ガラケーのような多様な機能は持っていません。つまり「普通の携帯電話」。
ちなみに、海外では通話とSMSに特化した「普通の携帯電話」は今でも普通に売られています。NokiaやSamsung、Sony Ericsonなどの世界の大手メーカーが、今でも製造しています。たとえば、わたしの手元にあるNokiaの携帯電話。
この携帯電話は、数年前に上海で買いました。GSM(2G)専用で、SIMフリーです。値段は確か350人民元くらいでした。当時の為替レートで換算すると4500円くらいです。できることは、電話をかけること、SMSの送受信、音声の録音、これだけです。廉価な機種ですが、安定しています。
このほか、失くしたり掏られたり人にあげたりして手元にない数台の「普通のSIMフリー携帯電話」をこれまで使ってきました。メーカーは、Nokia、Sony Ericsson、Alcatelなど。いずれも機能はシンプルですが、製品としての完成度は高く、安定していました。外国に行けば、こういった「SIMフリーの普通の携帯電話」はいくらでもあります。
海外には魅力的なシンプル携帯がたくさん
ためしに香港の携帯電話価格を調べるサイトで検索してみます。
検索条件はFreetel simpleに近いところで、
- 3GとGSMの両方使える
- ブルートゥース
- ストレートタイプ
- ラジオ
- スケジューラー
- アラーム
見つかったのは、Nokia 301という携帯電話。価格は530香港ドル(約8000円)です。
動画で見た方が質感が分かりやすいですね。
Freetel simpleの税込約6500円に比べると高いですが、質感の差は値段以上と感じます。
320Mのカメラがつき、3GまたはGSMでインターネット接続できます。画面が小さいのでウェブサイトをみるのは難しいですが、メールやSNS程度ならこれで充分です。Freetel simpleの30年前のゲーム機のようなディスプレイとは違い、発色のよい精緻な液晶パネルが使われています。
詳しいスペックはこちらで見れます。
海外では、大手メーカーが品質管理した信頼性の高い製品でも、この程度の価格で販売されています。Freetel Simpleの税込6500円という価格は果たして安いと言えるのか?
それでもわたしはFreetel Simpleを買う
それでもわたしはFreetel simpleを買う予定です。理由は、日本には技術基準適合認定という制度があるから。
日本国内で販売する携帯電話機は、総務省令が定める基準に沿って認可を受ける必要があります。この認可を受けていない外国の機種を日本国内に持ち込んで使用すると、電波法違反で処罰されます。外国に素晴らしい製品があるのに、それを日本国内で使うと電波法違反で警察につかまってしまうわけです。
Freetel SimpleがNokia 301より優れている唯一の点は、技適を取得していること。この一点だけなんですが、この一点だけでも、日本国内で携帯を使うわたしたちにとっては、価値があります。
でもしばらく待ってから
そうは言っても、ちょっと待ってから買うつもりです
すでに紹介したように、Freetel社(プラスワン・マーケティング)は品質管理が苦手です。
かつてPriori2の発売当初、荒い仕上がりに驚く声が多くあがりました。ネット上の報告によれば、フリップケースの接着剤がはみ出していたり、スイッチの穴の位置が合わなかったり。わたしのPriori2は、同包の充電ケーブルのUSBジャックが歪んでいて、本体のポートに合いません。
中国に行くと、駅前の路上にゴザを広げて出所不明のUSBケーブルやイヤホンや携帯カバーを並べて売っている人がよくいます。そういうところで買ってきた物と変らない(あるいはそれより低い)品質でした。
こういう過去の実績から推して、Freetel社が独自開発したというFreetel Simpleの初期ロットは不良品続出だろうと想像していました。
で、そのとおりになったようです。
freetel SimpleがSIMフリーガラクタと名付けられるまで
Freetel Simpleの成功を願う理由
わたしはFreetel Simpleの成功を願っています。SIMフリーフィーチャーフォンというジャンルの商品がもっとでてきてほしいからです。
ベースになる機種は外国に行けばいくらでもあります。たとえば上記のNokia 301を日本語化して技適を通して15000円くらいで国内販売してくれれば、わたしはすぐに買います。
あるいは、日本のベンチャー企業が独自開発してくれてもいいです。
それまではFreetel Simpleで我慢ですね。
最後に
最後になりますが、わたしはFreetel社にすごく期待しています。だって、Simpleのような製品を出すメーカーはこれまでなかったわけですから。もう少し几帳面にやってくれれば、面白い会社なんだけどな~と残念に思っています。
追記:わずか3日で販売終了(増産予定なし)
Freetelのサイトで、本日(9月1日付)ニュースリリースが出ました。「総生産分が完売となったため」販売終了するとのことです。そして、「本製品は特殊なフィーチャーフォンであるため、追加の部材調達が困難であり、増産の予定はございません」とのことです。
8月28日の新発売から3日間で製品自体廃止となりました。
製品の不具合のせいで販売を中止するのではなく、あまりに好評すぎて販売予定数量を3日間で完売したので製造を終了します、という公式リリースでした。
追記(その2) ビックカメラ店頭にて
ビックカメラでは、ある日を境に、Freetel simpleがあった場所に「調整中」の表示が掲示され、展示機が片づけられました。「調整中」ってなんだろう(笑)? こんなの初めて見ました。
想像するに、購入者からの苦情や返品が多いので、このままの品質では店頭に並べられない、という販売店側の判断でしょうか?